建設業の担い手確保に向けて、改正3法が成立しました。
また、ダンピング受注の防止や適正利潤の確保を、発注者の責務にするよう働きかけてます。
担い手確保へ改正3法成立/ダンピング受注防止・適正利潤確保、発注者の責務に
建設業の担い手確保などに向けた対策を盛り込んだ改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)、改正建設業法、改正公共工事入札契約適正化法(入契法)の3法が29日の衆院本会議で全会一致で可決・成立した。建設投資の急減や受注競争の激化で疲弊した地域の建設業の課題を解決するため、ダンピング受注の防止と、受注者の適正な利潤を確保するなどの責務を発注者に課す。業界再生で将来の担い手を確保する取り組みが具体化する。改正公共工事品確法は議員立法、改正業法・入契法は政府提出で、いずれも参院先議。同日の衆院本会議では、国土交通委員会の梶山弘志委員長が改正法の趣旨と審議経過を聴取した後、採択を行い、全会一致で可決した。改正公共工事品確法は公布と同時に施行。改正業法・入契法は一部を除いて来年4月にも施行される。
改正公共工事品確法では、担い手の確保を法の目的に明記し、それによって公共工事の品質を将来にわたって確保できるようにする。新たな目的と基本理念を踏まえた発注が行われるよう、発注者の責務を明確化。市場での労務や資材の取引実態を反映した予定価格の設定、ダンピング受注を防ぐ低入札価格調査基準額や最低制限価格の設定、計画的な発注、適切な工期設定、適切な設計変更などがその責務となる。
大規模工事から小規模な維持管理工事などに至るまで工事の特性や地域の実情に応じて多様な入札契約方式を選択できるようにすることも規定。技術提案交渉方式や段階的選抜方式、維持管理に適した複数年契約、一括発注、共同受注方式などの導入・活用をうたった。国が入札契約の統一ルールとなる「運用方針」を自治体や学識経験者、民間事業者などの意見を聞いて定めるとも規定した。
改正法成立を受けて国交省は今後、運用方針の策定作業を本格化させる。都道府県などの担当者が参加するブロック監理課長等会議や別途開く自治体向け説明会、全国建設業協会(全建)とのブロック会議を活用するなどし、「改正法の内容の周知徹底と運用指針の作成に向けたきめ細かい意見の聴取に努める」(建設業課)としている。
改正業法と改正入契法では、ダンピング受注を排除するため入札金額の内訳書の提出を義務付けるほか、受注業者による施工体制台帳の作成・提出を全公共工事に拡大し、契約内容の適正な履行を確保。建設業者団体による担い手確保に向けた取り組みを国が支援できる規定も設けた。改正業法ではこのほか、43年ぶりに許可業種区分を見直し、「解体工事業」を追加。ビルなどの解体需要が今後一段と増加する中で、技術水準を確保した適正な施工が行われるようにする。
日刊建設工業新聞2014年5月30日1面記事掲載